被相続人の請求によって、推定相続人の相続資格を失わせる制度です。
例えば、親不孝な子どもでも、親が亡くなれば第1順位の相続人となります。親が 「その子には遺産は一切相続させない」 と遺言を残しても、子には遺留分(法で認められた最低限の相続分)を請求する権利がありますので、その子は他の相続人に 「自分の分を払え」 と言えます。しかし、度を過ぎた親不孝な子でも、その請求ができるとすると妥当ではありません。
被相続人(この場合「親」)は、生前に、申し立てる方法または遺言による方法で、相続人からその子を廃除するよう家庭裁判所に請求することができます。ただし、恣意的な理由で廃除の請求をしないように、それ相当の重大な理由(虐待・重大な侮辱・著しい非行)が必要とされています。認められれば廃除された推定相続人の戸籍にもその旨が記載され、代襲相続の原因となります。 なお本人も承知であれば
遺留分の放棄 という制度もあります。
廃除の請求ができるのは、第1順位と第2順位の相続人に対してだけです。兄弟姉妹が相続人となる場合は、廃除の請求はできませんので、遺言を書いておく必要があります。
統計によると、平成26年度の相続人廃除の戸籍届出事件数は全国で44件
となっています。