自分の死後、自分の遺産の分け方について、後に遺す人たちに伝えておきたい時には、口頭でも構いませんが、その通りに実行してもらえないことがありますし、思いがけない相続人がいた場合、他の相続人が説得するのも容易ではありません。口頭で伝えただけでは法的な効力は発生しないからです。自分の意思を書面に残すことによって、遺言として効力が発生し相続人は遺言を無視することができなくなります。
自筆証書遺言は、全文を自筆で書き、日付を入れ署名捺印します。指定の用紙はありません。普段使っている便せんや手帳等、何でも構いません。筆記具は、ポールペン、万年筆等、消えないものをご使用下さい。捺印は認め印でも構いません。誤字の訂正や文言の追加をする場合、厳格な決まりがありますので、訂正する時には全て書き直した方が無難です。出来上がった遺言書は紛失しないように、また万が一の時には発見しやすいように保管しておいて下さい。
なお自筆証書遺言であれば、気持ちが変わったら、いつでも手軽に書き換えることもできます。その際、必要に応じ古い遺言書は捨てて下さい。
自筆証書遺言の場合は、死後、検認 という手続きを経ることにより、実務での各種相続財産の名義変更、払戻等が可能になります。検認の際、相続人の前で裁判官が遺言書を読み上げてくれます。その点も視野に入れて遺言書を作成しておいてもよいでしょう。
注意点
ワープロで作成し自分の名前だけ自署した遺言書は、自筆証書遺言として有効にはなりません。万が一の時には相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。預貯金の払い戻しや不動産の名義変更をする時には、相続人全員の印鑑登録証明書も必要になります。
全文手書きが無理な方は、秘密証書遺言か公正証書遺言をお作り下さい。