亡くなった方の借金(相続債務)を返済すれば、ひょっとすると少し財産が残るかもしれない、あるいは遺産の限度で借金を返済するが、それ以上の責任は負わないこととしたい、という状況の時に、限定承認という手続きを利用することができます。清算して資産が残れば、相続人が受け継ぐことができます。(ただしこの場合、*譲渡所得税の対象) 清算後、借金だけが残っても、相続人が不足分を支払う必要はありません。
多額の負債はあるものの亡くなった方が営んでいた事業を承継したい場合、相続財産の中にどうしても手放したくない財産がある場合などに使われる手続きです。
大まかな流れは、(相続人全員で)申述書・財産目録の提出 → (相続人の中から)相続財産管理人の選任 → 債権者・受遺者への公告 → 清算(その方法にも細かい決まりがあります)
限定承認の申立も 相続放棄 と同様、亡くなったことを知ってから3ヶ月以内にする必要があります。
* 税法上は、被相続人が財産を時価で相続人に渡したとみなされますので、譲渡所得税の対象となります。 ( 国税庁、譲渡所得 ) 被相続人の準確定申告をして譲渡所得税が発生した場合、被相続人の債務となります。
明らかにマイナスの財産よりプラスの財産が多いと分かっている時に限定承認を選択すると、単純承認すれば払わなくても済んだ譲渡所得税を払わなければいけないという状況になることもあります。限定承認を検討なさる時には、法律の専門家だけでなく、税金の専門家である税理士さんともよく相談しながら進めてください。
裁判所の統計によると、平成20年度の限定承認の申述受理件数は、全国で897件。相続放棄は、約15万件となっています。
平成27年度の限定承認の申述受理件数は、全国で759件。相続放棄は、約19万件。